水無月 U.
朝だというのに
昨日からの厚い雲が
ベットリと張り付いて
零れ落ちる光は
私まで届かない
今日も雨が降る
庭の紫陽花は
紫の炎を吹き上げた
紫の炎の陰で
私は小さく震えていた
双極性障害の心が
今日は
少し悪いかな
雨のせいだね
ガラス窓を伝い落ちる雨粒
三筋の流れの先にある
孤独
指でなぞってみる雨筋
指先の冷たさに滲みる
悲哀
ごめんね
こんな私で
私の頭の中には
小さな妖精が
いつの頃からか住み着いた
今
ランプの薄明りの中
蹲り
目を閉じ
黙っている
私の心は、蜻蛉
黎明に生まれ
黄昏に死す
この雨が止めば
夏が来る
まぶしい太陽が出るよね
そうすれば
目が覚めるかな
たぶん…