さよならマスク 大杉 司
マスクを外して
行く当てもないのに
街をふらふらと
僕はひたすら歩いた
周りを見ると
漸く束縛から解放されたような
でも何処か疲れ切ったような
そんな面持ちでいっぱいだった
だが良いこともある
笑った顔が見れること
日常を取り戻したこと
良いこと尽くめだ!
空気や人情も豊かになり
人々は伸び伸びと生活している
しかし懸念とするならば
それは経済や格差······
そんなこんなで日が落ちて
急ぎ足で家に帰った
風呂で体を癒やし
夜食で腹を拵えた
眠りにつく前に
机に置いてあったマスクを
「さよなら」と一言言い
僕はゴミ箱に捨てた