手遅れ 理蝶
雨が降る
しとしと降る
人の世は今日も軋んでいる
悲しみを燃やし栄えている
そんなつもりじゃなかった
君の中でそんなつもりが膨れ上がるのが見えた
そんなつもりが積もり
ほんとのつもりを伝えられないまま
心は静かに離れてゆく
僕は眺めることしかできない
対岸のキャッチボールのように
僕は眺めることしかできない
君の心は向こう岸まで離れてしまったのだから
僕は謝ることすらできない
本音は向こう岸までは届かないのだから
静かにただ待とう
いつかこの川を言葉のオールが漕ぎ出す日のために
素直になってみよう
いつかこの川を越えほんとのつもりを伝えるために
そんなつもりだった