評ですね。6月9日〜12日ご投稿分 雨音
「その次のこと」妻咲邦香さん
妻咲さん、今回も一番乗りでしたね。
この作品とっても素敵ですね。もしかしたら妻咲さんのことだから、私が好きそうだと察していらっしゃるかしら。どのくらい素敵だなと思ったかというと、ちょっと妬いちゃうくらいでした。こんなのかけちゃうなんて!と。というわけで、佳作です。
基本的には直すところなんて全然なくて、このままでいいと思いますが、もしも私だったら、という部分をニ点だけ書いてみますので、参考にしていただけたら嬉しいです。いずれもとても細かいです。
まず一点め、一連に三回「私」が出てきます。一つ目は絶対にあったほうがいいです。二つ目か三つ目のどちらかをなくしたほうがいいかなと比べてみると、三つ目はないとわかりにくいかもしれない、ということで、二つ目を省略してもいいかもしれません。
次に、最後の一行ですが、そこだけトーンが少し違うように感じました。あくまで私の感じ方です。でもね、どうしていいのか悩んでしまいました。「明日が早くきたらいいのに」が思いついたけど、もっといいのがあるような気がします。探してみてくださいね。
「後ろ姿」やまうちあつしさん
やまうちさん、お待たせしました。実はやまうちさんは今回も二番乗りだったんです!すごい!雨音を喜ばせるのがみんなうまいですね。ってきっとたまたまなんですよね。失礼しました。
さて、こちらの作品もまた憎らしいほど素敵でした。やまうちさんも佳作です。次回からちょっと厳しくなります。あしからず。
こちらは直したいと思う部分はありません。この後ろ姿の捉え方はとてもグッときました。というのも、私自身が後ろ姿が好きなんですよ。写真とか撮る時も、気づいたら後ろ姿ばかりだったということがありました。人ってもしかしたら横顔とか後ろ姿に透けるものなのかもしれないなと改めて思いました。
「陳さんと日本語と私と」紫陽花さん
紫陽花さん、こんにちは。紫陽花の季節になりますね。
なんだかそんな季節に作品を拝見させていただいて嬉しいです。
そして、とっても優しくて心があったかくなるそんな作品で、じんわりしながら読ませていただきました。おまけの佳作です。
ストーリーはもう申し分なくて、申し分ないどころか、とってもいいですし、構成や流れもすごく素敵。そしてなんといってもね、これは紫陽花さんにしか描けないな、と思わせる紫陽花さんご自身から滲み出てくるような人柄を感じました。おまけ、の部分は些細なことなのですが、テンポを少し良くするために、声に出して見直してみてください。例えば、この連です。書き換えてみます。
そしてなにより
単語選びと言葉遣いが丁寧だ
例えば
ここ分からないから
教えて は
陳さんにかかると
ここに大変な問題があります
教えてください
になる
こんな感じを参考に、ほんの少し手を加えてみてください。全体好きでしたが、二連がね、特にとっても好きだったと告白させてください。
「水無月」U.さん
U.さん、お待たせしました。
今月は本当良い作品が多いですね。U.さんの作品もすごく良いです。佳作です。
こちらも最初から最後まで過不足なく、それにプラスして、しみじみと広がっていく情景があります。それは心であり景色であり、なんとも表現しようのない魅力、というものだと思います。これを書いていて気づいたんですが、作品としての完成度に加えて、こうしたなんとも惹かれる魅力を備えているものに出会うと、心が本当に共振しますね。とてもよかったです。
「ソウル」鯖詰缶太郎さん
鯖詰さん、こんにちは。お待たせしました。
面白い作品ですね。これはソウルミュージックの曲調を想像しながら読むととてもいいです。前半が特に私は気に入っています。五寸釘のあたりはゾクゾクしました。みんなそういった黒いもので覆われる時がありますものね。一考して欲しい部分があります。それが、
でも
生きているって言ってやりたい朝もある
なのですが、ここから先が朝の話になります。ただ、うまくこの「生きているって言ってやりたい朝」に繋がってこなかったんです。これがとっても残念でした。ここは最後に「ああそういうことだったんだ」と思えるように話の流れを作ると良いようです。ちょっと考えてみてくださいね。佳作一歩手前です。
「龍」freeBardさん
freeBardさん、こんにちは。お待たせしました。
こちらの作品はまるで墨絵を見ているような錯覚に陥るような作品でした。墨絵といえば濃淡の美しさです。この作品は後半三行の
私は嗤わぬ
何者も
いつか煌めく
一筋の
清烈果敢な河となる
この部分が真っ暗な世の中から浮かび上がるような濃淡の淡として白い龍が登っていくようでした。とても大きな絵に見えますので、言葉たちも大きな紙の上を泳がせてあげたい、そんな気持ちになります。ぜひ少し余分なものをつけて、濃淡をより鮮明にして大きな作品にしてみてくださるといいかなと思っています。
「人生の目的」ふわり座さん
ふわり座さん、お待たせしました。
最初にお伝えしたいことがあります。それはふわり座さんの作品を毎回(毎月)結構続けて拝見している立場として、何回か伝えてきましたが、改めて。ふわり座さんの作品はどんどん良くなってきています。今日また改めてそう思いました。成長ってこういうことかなと。真摯な姿勢がとても好ましく、羨ましいほどです。それを前提として、少し主題を別のところに探してみるといいかもしれないと思っています。練習の意味でです。例えば、朝ごはん、とか。ふわり座さんの作品の真ん中にあるのは人生とか愛とか人間関係が多いのですが、それを後ろの方にちょっと隠して(でもそれが主題なんですが)全く別のもので書いてみる、というのが次のステップに繋がるのではないかなと考えました。実はそれについては少し前から思っていたのですが、もしかしたらふわり座さんなりに書き切ってからでないと難しいかもしれないと躊躇していました。今回の作品を拝見して、そろそろ次へという気持ちが強くなったので提案します。今回の作品は応援の意味も込めて佳作です。
「闇夜だ」江里川丘砥さん
江里川さん、こんにちは。お待たせしました。
我ながら平易すぎる日本語で失礼しますが、この作品、すごくよかったです。やまうちさんの「後ろ姿」にも妬けたけど、この「闇夜だ」にも妬けますね。佳作です。月の置き手紙は、私の心を射抜きましたよ。ショートストーリーを読んでいるような気持ちになりました。良い作品というのは想像力を掻き立てられるなと思います。書きすぎず、書かなすぎない、その上に、オリジナリティ、すごいバランスだと思います。ひとつだけ、月光ですが、もしかしたら、言い換え辞典を引いてみると、何か月を使わない熟語が見つかるかもしれません。そのほうが月月しなくていいかもしれないので、ご参考までに。
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今回も力作揃いで楽しませていただきました。
そして、Mydearの仲間たちの活躍がとても頼もしく
嬉しくて。カンパ〜イ。
iPadのPagesを使って書いているのですが、
今ひとつ改行が上手にいかなくて、読みにくい点があったら
ご容赦くださいね。