あじさい 秋さやか
湯舟にたっぷりと浸かり
すこやかに濡れる
ちいさな背中の蒙古斑
思春期になったとき
あなたは気にするだろうか
雨の朝を
閉じこめたように優しい
その色を
プールの授業中
背中に注がれる視線を
恐れるだろうか
空を模す
紫陽花のように淡い
そのあざを
降りくる灯りと
立ちのぼる湯気に包まれて
曇った鏡に
わたしを描いてくれている
肩甲骨の滑らかな尖りを
そっと撫でると
くすぐったそうに笑いながら
振り向いて
水飛沫を浴びせてくるあなた
それとも
いつか腋窩に生えてくる
か細い毛を
気にしだすころには
消えてしまうだろうか
夏の光に飲み込まれていく
紫陽花のように