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スレッドNo.2348

17  山雀詩人

傘をさすと安心する

シェルターに隠れているような
外界から守られているような
そんな気になる

だからたまに知らない誰か
いや本当は知ってるけれど
顔も名前も知ってるけれど
でもやっぱり知らない誰か
つまりいわゆる同級生に
通学路で話しかけられても
傘があればそんなに怖くない

だって守ってくれるから
傘というシェルターが
私を隠してくれるから

生まれる前の小鳥のヒナも
きっとこんな気持ちだろうか
かたい殻に守られて
安心して眠っているのだろうか

そうだ
傘はまるで卵の殻だ

そして私はおびえるヒナ
もう殻を破ってしまって
もう生まれ出てしまって
でもまだ殻を懐かしんで

今朝も雨
通学路はいっぱいだ
〝誰か〟たちでいっぱいだ
似たような顔をして
似たようなことをしゃべって

私は殻の中を進む
傘を傾け私を隠す

あ 前にいるのはカナちゃんだ
クラス一の人気女子
でも私には知らない誰か
さらに傘を傾ける

お願い
誰も私に気がつかないで
誰も私を振りむかないで
そして雨よ やまないで
どうかずっとやまないで

だって私はヒナ
生まれたてのヒナ
怖くてこわくて泣いている
17歳のヒナ
 

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