失われた時の中で ロンタロー
毎朝陽は昇る
毎年春はやって来る
雨露をしのぐ家で
日々暮らしている
だけれども
何なのだろうか
このむなしさは
このやり切れなさは
たとえ同じ言語を使用していても
互いの思いを共にすることは
とても難しく途方に暮れてしまう
何事もなくすれ違いに終わる
失われた十年
失われた二十年
失われた三十年
失い続けた歳月
この先あと何年失い続けるのだろうか
ふと思うのは
寄る辺なき私という
ちっぽけな個は
予め失われた存在だったのだろうか
失われた時の中で
静かに息をしている
彷徨い続けながらも
失われた時の中を