向日葵
蝉を追いかけ
犬が電柱にぶつかっていた
夏だった
ようちゃんは
空手を習いたがっていた
ようちゃんは
暴力を
心から恐れ
軽蔑していたが
結局
より強い暴力でしか
解決しないんだ
というような事を言った
ようちゃん
あの時
なんであんなくやしそうな顔で
向日葵を折ったんだい?
死んでしまったけど
大切な人が大好きな花だったんだって言ってたじゃないか
こんな暑い日は
そんな事を思い出します
ところで
ようちゃん
子供が生まれたんだってね
写真、見ました
人を憎み
傷つけ続けたあの手が
今はたくましく
頼もしい手になったね
辺り一面に咲いた
向日葵は幸せそうな家族を祝福していた