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スレッドNo.2381

宮益坂下へ  U.

歩道橋の上
いつか日は暮れて
照らす水銀灯の下
眺める青山通りは
ヘッドライトとテールランプの
川の流れ

光の流れは
2年前のあの時と変わらない
なのに
冷たい霧がふたりを包み
あなたの微笑みは見えない

そして
あなたは左に
私は右に
流れる光の川を挟んで
ちらりと見たあなたは
ぼやけてしまって

 あれ、私
 涙、なんで?

寂寥に掴まった
そんな自分が
何故か腹立たしくて
遠くヒカリエの
妙に白い窓の光だけを
睨みつけ
あなたへの想いを噛みしめて
宮益坂を下った

雑踏の中に紛れたくて
足早になる私は
きっと、明日には
人混みの中に
あなたの面影を
探しているのだろう

川に流したい想いを握りしめ
ガードの上
山手線の走る轟音に包まれて
声を出さずに泣いた

 私は、弱いね

触れ合った暖い指
心浮き立つように寄り添った時
微笑み合いながら
行く当てもなく歩き続けた日々
いつも
私は幸せだった

何もかもが満たされていた
あの瞬間をくれたあなたに
会えたことが嬉しくて

だから

ただ、今は
時が思い出を作るのを信じて
二度と会うことのない
あなたを見送る

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