小さき人 樺里ゆう
小さき人よ
君はこの星に来て
いろんなことを
覚えていったのだね
力いっぱい泣くことと息をすること
嘘をつくことや我慢すること
ルールを破ることと守ること
周囲の人間が君にどう接したか感じ取ること
大人が決めた「良い」「悪い」の区別に
関係なく
君はあらゆることを吸収して
その区別に理由があることも
やがて理解するのだろう
そんな
人間としての坂道を
登っている途中である君を
小さい大人と呼ぶのは
的確ではなく
子供だからと
侮るべきでもない
それなのに大人は
子供を 何も知らない無垢な存在と
決めつけてしまう
自分もかつて
子供だったのに
親に悟らせなかった秘密も
布団の中で泣いた夜も
あっただろうに
決して純真無垢な存在ではないと
何より自分が思っていただろうに
小さき人よ
わたしは
ただ君を
眩しく 愛おしく
思うばかり