風 紫陽花
日曜市の片隅に
あの夏の夕暮れ香る
透明な風は売られていた
病院には風がない
あの山の家の風に
吹かれたい
肺癌末期で
入院中の父は
いつも風を探していた
それから私は
風を探し歩いた
毎日毎日
そして見つけた
あの日曜市で
早速父に
父の酸素マスクに
そっと夕暮れの風を垂らす
風は微かな音を立てながら
山の物語を話しはじめた
父の鼻を通り口を通り
優しく優しく
その晩
父は大好きなお母さんに
優しく抱きしめられた
そんな夢を見たそうだ
日曜市の片隅に
あの夏の夕暮れ香る
透明な風は売られていた
病院には風がない
あの山の家の風に
吹かれたい
肺癌末期で
入院中の父は
いつも風を探していた
それから私は
風を探し歩いた
毎日毎日
そして見つけた
あの日曜市で
早速父に
父の酸素マスクに
そっと夕暮れの風を垂らす
風は微かな音を立てながら
山の物語を話しはじめた
父の鼻を通り口を通り
優しく優しく
その晩
父は大好きなお母さんに
優しく抱きしめられた
そんな夢を見たそうだ