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スレッドNo.2413

風 紫陽花

日曜市の片隅に
あの夏の夕暮れ香る
透明な風は売られていた

病院には風がない
あの山の家の風に
吹かれたい
肺癌末期で
入院中の父は
いつも風を探していた

それから私は
風を探し歩いた
毎日毎日
そして見つけた
あの日曜市で

早速父に
父の酸素マスクに
そっと夕暮れの風を垂らす
風は微かな音を立てながら
山の物語を話しはじめた
父の鼻を通り口を通り
優しく優しく

その晩
父は大好きなお母さんに
優しく抱きしめられた
そんな夢を見たそうだ

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