架け橋 妻咲邦香
人はどれだけの秘密を持って生まれてくるのだろう?
どれだけの秘密だったら持っていけるのだろう?
いつか手を滑らせて
落として割ってしまうもの
いつか花のように
綺麗に開いてみせるもの
希望は常に、牙を向き襲いかかる
眩しい明日なんて誰にも褒めて欲しくないから
涙にもちゃんと軌道があって
尻尾のようにためらいながら落ちる
偽る相手が違うだけなのに
自由に渡れる岸辺を探して
それでも曇らせないシャンデリア
歪んだ都市計画の中で
誰もが最新のフレグランスを選んだ
大丈夫
付録はわくわくしながら開ける
実はただの孤独だったとしても
誰のものでもないと
泣きながら振り払う
たくさんの手がどれもあたたかい
何処へも帰らないとあんなに誓った声が
もう遠い駅の待合室のベンチの上
褪せた時代のような顔して
座ってる
隠さずにいることは、とても、とても痛いものだよ
やっぱり見せないでおく
闇かもしれないし
光かもしれないもの、抱いて
よく知らない人類のために生きると決めた
ゴミ拾いでもして
道を聞かれたらちゃんと教えて
誰とも違う枕木を跨いで
強く振る舞うと本当の私が崩れ落ちる
大丈夫
大丈夫じゃないから
大丈夫
付録は途中で開けるのやめた
実はただの魔法だったりするから