薔薇 紫陽花
私を踏んだあの人が
憎くて仕方なくて
今度会ったら
引っ掻いてやろうと
私は毎日毎日爪を
研いでいるのです
そういえば最近
あの人は来ませんね
雨が降っているから
でしょうか
私が踏まれた日も
こんな風に
しとしとと冷たい雨でした
そんな爪研ぐ日々を重ねながら
私は気づいたのです
私の爪ってやっぱり綺麗だ
最初はただ顔色悪く
私の指にくっついてたけど
今はこんなにツヤツヤと
赤いそして硬い
棘みたいに
このまま年月を重ねたら
私 薔薇になるかもしれない
それなら
きっとあの人も大好きな
あの真っ赤な薔薇になろう
だから私は今日も
きしりきしりと爪を研ぐ