空の名前 松本福広
空の青が欠けて、雪のように空の青が散っていきます。
ゆっくりと欠けて青を失う空。
空色は……青だから空なのでしょうか?
空に在る色だからなのでしょうか?
もしも、空が青色で空と呼ばれるのなら、
青を失くした空は、どんな名前で呼ばれるのでしょうか?
ルネ・マグリットの『空の鳥』は青を失ったら
その名前が付けられたでしょうか?
あの優しい水色だったのでしょうか?
空はソラになり
色は限りなくゼロに近づき、イプシロンをソラに浮かべます。
路面に積もった青い小粒らに名前をつけてください。
積もり積もった青が泣かないように。
空色の鳥があるなら
空色の木があって、空色の葉がある空想を誰かがするでしょう。
空色の葉はその人の手にハラリと落ちていきます。
空の再生を託されるかのように。
乾いた慈しみの色をたたえた悲しさは
その人の手の熱を奪っていきます。
あなたが今浮かべている空は何色でしょうか?
太陽に塗される銀色でしょうか?
月に照らされる黄金色でしょうか?
雲に包まれる白でしょうか?
ゼロのソラに包まれる空想がありますか?
そう、それは空へ想いとして語ってください。