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スレッドNo.2471

泥  凰木さな

泥水の上を
君は走っている

沈んでしまわないように
下を見ないまま

足を取られないように
振り向くことなく

ただ前だけを見て
歯を食いしばり

足元で跳ねた泥で
汚れるのも気にしないで

やがて黒い森に入り
転びかけてバランスを失っても

君は走っている
涙を流しながら

溢れる涙で
泥は薄れ

足元の水が
透き通ってゆく

小さな魚の群れや
水草や水中花

浅い川底が姿を現し
綺麗な水が君を洗う

浅瀬から岸に上がると
その先は見渡す限りの草原

君はやっと足を止め
緑の中に仰向けに倒れ込む

風が優しく吹き
颯爽と音を響かせる

息を切らした君が
空を見上げると

雲がゆっくり
流れている

大きく息を吸えば
草の香りと温かい空気

柔らかい光が
瞼に乗って

眠りにつく
草原に風の音を残して

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