永遠の国 エイジ
永遠の国への入国を
少年はひたすら待っている
夜露に濡れたガラス窓から
待ち遠しそうに顔を覗かせて
きららかな雲が湧くのを
ぼんやり見つめながら
時期の早いトンボ一匹を
どこまでも追いかけながら
少年はある日いつも行く
湖のほとりで晩い時間に
ひとり遊んでいた
ふと気になって
少年は湖の深くを見つめていた
吸い寄せられるように
少年は湖に浸かった
その水面はしじまだった
その時 湖の底に
一陣の光が射しているのを見つけた
何かの予感がして
少年は光めがけて泳ぎ始めた
光の隣に小さな扉があって
その中から光が射している
永遠の国に行けるかもしれない
そう思って少年は小さな扉を
開けて入って行った
水面はまたしじまだった
時期の早いトンボが
水面の上を舞っていた
湖近くの木の上で
孤りのカラスがアァと鳴いていた
少年は帰ってこなかった
永遠の国の扉を開けて
旅立ってしまったのかもしれない
夜露に濡れたガラス窓から
待ち遠しそうに顔を覗かせたり
きららかな雲が湧くのを
ぼんやり見つめたりしていた
あの少年はもうここにはいない