夏の路端にて 理蝶
垂れ下がる電線は真夏の夕暮れに光ってる
芯まで茹で上がる電柱は静かに震えてる
手向けた花は干からびて
日々知らぬ間に散ってゆく
あの子だけが知ってる夏の路端のこの暑さ
灰になったあの子だけ
今もきっとふわふわ漂う
歪んだベッドタウンの上を
夕飯の風に煽られては
どこか遠くへ
夕立の知らせがあの子の髪に触れ
どこか遠くへ
俺は花屋によらなければ
どうせすぐ枯れてしまうのだけど
俺は花屋に向かうことしかできないわけだし
どうせすぐ枯れてしまうのだけど
夕立がくればそれもまた都合がいいわけで
大胆な格好した女の子達は騒いでかけてゆくわけで
別に俺はそんなに呑気でもなくて
そこにあの子の影を見たりするんだろう
花屋で涼もう
じっくり花でも選んで
あの子の好きな色なんだっけ
忘れたふりして