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スレッドNo.249

心象 -episode 4-  U.

-chapter 1 動物園にて
なぜ檻の中の狼は吠えないの
夢を見ているからさ

白い霧が流れ、濃く薄くまだらの空気の流れ
深い森の中に
霧に誘われ、獣道を歩む
霧は厚く重なり
光は鈍く散り、光の粒は砕けちらちらと降り注ぐ

黒い森の中には
獣の目、ゆらゆら揺れて、青白い炎
天は霧の中、地は霧の中、濃く薄くまだらの空気の流れ
森を抜け、萌黄色の草原へ
白い花がちいさく揺れ
透き通った草の匂いがする

そんな夢
狼が目を開いた

-chapter 2 焦燥
めくるめく笑いの中
矛盾、涙、心、内部破壊
自己批判、自己破壊、自己崩壊

北の山々が青く、ステンドグラスのように
つるつるに磨かれた氷の光を放つとき
心は硝子細工
北の風が流れていく
そこ、曲がり角で、風の囁きを聞いた
凍える手と足と、凍える身体
吐き出す声は白い粒子になって
ぽろぽろ落ちる、目の前に

光、降臨、天、青空、ユートピア
壁、不信、メリーゴーランド
そして狂気

-chapter 3 旅立ち
私に何処へ行けと言うの
周りの全ての物が、私に向かって牙をむく
全ての物が色褪せ
物憂い灰色に映る

私に何をしろと言うの
周りの全てのものが、冷たい光
その光に恐れおののき、震えている
光は、胸に突き刺さり
心臓は、凍りつき、裂けて砕けてそして散る
その破片が、身を内側から刺し
流れ出る白い血

私の居るべき場所は何処ですか
するべき事はなんですか
空虚の震えが身を揺らす
白い世界の色を求めて旅に出る

-chapter 4 惑星
北の大きな硝子窓いっぱいに夜空が貼りついた
大理石の床に腰を下ろし
膝を両手で抱きしめ、顎を埋め、白い息を吐く

瞬く星を見つめる目
星の光は冷たい空気の中に澱み、沈み
硝子窓は群青に凍りつく
白い息の塊が、コトンと落ちた

樫の扉を見つめる
誰も来ない

それでも、その目はあの時の狼の目だ
だから、青い硝子の靴を履いて踊った
嬉しくて、軽やかに
星を巡る歌に合わせて

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