ウサギ先生 山雀詩人
とある町の動物病院
待合室は今日も満室
まるで小さな動物園だ
犬や猫はもちろんのこと
オウムにウサギ 両生類
トロピカルなカメレオン
すごいな 動物病院って
こんないろんな生き物を
そういえばまだ幼い頃
犬猫病院にいる先生は
犬や猫だと思っていた
だって人と動物じゃ
感覚が違いすぎるし
会話すらできないし
だから
犬には犬の 猫には猫の
お医者さんがいるんだと
ならこのドアの向こうには
どんな先生がいるんだろう
白衣まとった犬先生
聴診器つけた猫先生
カラフルなのはオウムかな
ウサギ先生は美人だろうな
ただ問題はしゃべれないこと
それを言ったらみんな同じか
でもだいじょうぶ 問題ない
動物には動物式会話があって
ちゃんと通じあえるんだろう
もしかしたらヒトとヒトより
どんな会話をするんだろう
聞いてみたいな その会話
できれば僕も参加したいな
と そのとき アナウンス
やっと僕の番が来た
うちのウサギの番が来た
グリちゃん 先生のとこ行くよ
グリの耳がぴんと立つ
まるで何かを察したように
まさか
おそるおそる ドアを開けた