ごまか詩 妻咲邦香
詩はごまかし、ている
言いたいことを、ごまかして、いる
本当の気持ち、ごまか、している
ごまかさないで、伝え、たいけど
ごまかさないと、言えやし、ないので
結局ごまか、す
改行で飛ばす
句読点で引っかける
比喩を使って覆い隠す
愛した人はそれぞれいたよ
みんな元気にしているよ
会えない理由も何となくで
今じゃすっかり訳ありなのさ
存分に語ったか
後悔はないか
山の頂が、白い煙を吐き出して
もくもくもくもくと
そんな次々と湧き出る現実に
目も眩み、足もすくむ
だから
詩で、ごまかす
詩は、ごまか、す
上手くごまかせば、ほめられる
下手くそだったら、通り過ぎ、てしまう
夜毎くり返される、それは
1ミリグラムにも満たない、それは
ただの強がり
ただの照れ隠し
そしてただの、言い訳