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スレッドNo.2497

キューブアイスちきゅう 松本福広

ウィスキーの中に浮かぶ丸氷。
飴色の液体に仄かに漂う燻ぶりを
次第にゆるやかに、まろやかにして、華やかにする丸氷。
それは、地球の歴史における琥珀の位置と似ている。

透明な氷漬けの地球は
銀河の透き通る黒や、星の瞬き、他の惑星の一粒の艶やかな姿を
透過させて、その姿を映し返す。
銀河系と呼ばれた姿は、人間の想像の限界で
さらにその先に進む〇〇系を映し出すことはできない。
内包されたものが、外側の姿を映し出すことはできないからだ。

凍れるアースボールは
恐竜を絶滅させたり、
人々に火を灯らせて、囲み、手を繋ぎあい、物語を作る余白を与えたかもしれない。
丸氷の白い部分はきっと物語。
化石は黒板。みんなで物語を共有するんだ。

凍れるアースボールと、限りなく透明に近い青の惑星は似ているようで似ていない。
紡がれた軌跡はどちらも短いかもしれないが。
生命たちはそっと手を繋ぎあう。
火を囲んで、マンモスの燻製、未来に伝わるウィスキーを酌み交わしあい、ずっと僕らが話し合ってきた物語を
花束にして、地球に捧げるんだ。

編集・削除(編集済: 2023年07月27日 08:02)

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