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スレッドNo.2522

百日紅  上田一眞

朝早くゴミ出しに行くと
一頭の黄色い揚羽蝶が道を遮る
花のない
百日紅の木の周りを
無心に飛び回る揚羽蝶
ひらひらと飛ぶ様に
こころの淡い影を見る

百日紅の木から大合唱
見上げると
ジージー ワシャワシャ
ジージー ワシャワシャ
蝉時雨
にいにい蝉にあぶら蝉
チッチッ チッチッ
と鳴いて木肌を少しづつ移動する
あっ 落ちた
地中七年地上七日の生命の灯し火が
いままさに燃え尽きた

百日紅のすべすべの木肌には
無数の蟻ん子の列
蝉の死骸でも運びたいのか
七年と七日待ったのか
黒くて細い列がぞろぞろと続いている

蝶は舞い
蝉の声騒がしく
蟻は列をつくる

いよいよ夏本番
命燃え尽きるこの季節
記憶の彼方に夏休みがある…

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