小夜曲 日光月光 U.
枯野を飛ぶ
色なき風が囁く
何処かで
誰かが
私を呼んでいる
私を捜している
そんな気がして
ちっぽけな私の力でも
望むなら
与えましょう
あなたにです
私は平気です
喜んでくれるならば
泣くことも忘れる
細かい霧の中から生まれた
陽の光が
身体にまとわりつき
止まった風に埋もれて
私は
夜が来るのを待っている
夢の中に溶け込み
あなたの腕の中に
疲れた身体を投げ掛け
優しさの中で安寧に溺れる
今宵の月明かりに
頬を照らされ
少し微笑んだあなたは
透き通った群青の中
もう一度逢いたい
未練な想いを抱きながら
立ち尽くす私は
籠もった瞳で
月の影を見つめる
私の慟哭は
天を揺るがせ
地を震わす