私一つ 晶子
私は
遠くの山が人の心を澄ますほど
あなたの心を澄ますことは出来ない
太陽ほど全てを明らかにすることも
空ほど圧倒的になることも出来ない
ただ私は私一つの大きさで
山を望み
日に照らされたものを美しいと思い
空の大きさに畏怖しながらも惹かれて見上げる
あなたと同じ人間であること
それ以上のなにも
あなたに響かせることは出来ない
私は私一つの重さで
あなたの中に小さな水紋をつくることしか出来ない
だけどいつかそれが大きな波紋となって
あなたの本当に届くこと
それだけを願って
今日もあなたに語りかける