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スレッドNo.2547

キミは透明に  江里川 丘砥

ぼくがキミを
否定してしまったら
どうぞこの心を
刺してください
キミはぼくなんかに
関わるべきじゃないから

月の満ち欠けも
潮の満ち引きも
作用できないほど
透きとおった心のキミを
否定するような人間に
ぼくは
なりたくなんかないよ

あの人はキミを
花のように飾りたいだけだよ
あいつは
蝶のように標本にして眺めたいだけだよ
ぼくがキミを
星のように崇めて
決して触れることのできない場所に
留めておきたいように

そしてキミは
いつしか透明になっていた
ぼくらの目に映らないように
手の届かないように
透明に

声も聞こえず
今は足音だけで
そこにいることが
かろうじてわかるけれど

そのうち
足音もたてなくなって
ぼくらにはわからなくなっても
変わらず
そこにいるんだろう
花のように揺らめいて
蝶のように蜜を吸い
星のように息を潜めて
ぼくらをわらっているんだろうな

そうやってキミは
透明になっていく
ひとり
無垢な場所で
誰にも
何にも
とらえられないキミになっていく

もう二度と見えないけれど
そこら中で
微笑んでいるのなら
安心してキミを思うよ
ぼくが否定することもできなくなるほど
透明になったキミを

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