自転車 まるまる
テーマは「一日一善」
それは4年生の時の帰りの会
「はい」 と手を挙げて発表した
ちょうど前の日
駅前に倒れてた誰かの自転車を
起こしたから
倒れた自転車を見つける度に
思い出す その出来事
知らない人の自転車を起こす子なんて
今どき いないかな
今日は娘と外出
途中 バス停の手前
重なって倒れてた自転車2台
大人用と子供用
4年生の時のことを思いながら
黙って脇を通り過ぎた
知らない人の自転車を気にしない
今の子どもたちと 同じように
あれ
隣にいたはずの 娘がいない
どこ?
振り返ると
その自転車を 起こしていた
終えると
小走りに追いついて来た
娘を どんな言葉で迎えよう
やみくもに称賛する気持ちには なれない
それはあまりに 軽率に思えて
せめてしっかり向き合うために
尋ねた
どうして自転車を直したの?
そのくらいの時間はあったから
そうか
正解とか不正解とかじゃなくて
えらいとか えらくないとかでもなくて
自転車は 寝かせて置いたものじゃないから
やった
ただそれだけの ことだった
娘のしたことは
誰もが過ごす日常のリセット
それも ごく一部
とても 単純なことだった
私 やらなかったのに
ありがとうね