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スレッドNo.2566

赤い夕焼け 大杉 司

小鳥の話し声も
森林の囁き声も
どこか遠くに消えてしまい
いよいよ残ったのは
赤い夕焼けだ

それは山火事のようで
辺り一面赤く染まり
今にも逃げ惑いそうなほど
空は燃えている

実際逃げ惑う人はいないが
いかにも異様な雰囲気に
圧倒される子供と
遠吠えをする犬がいる

自分もその子供と同じ気持ちで
なぜ燃えているのか
なぜ静まったのか
いろいろ考えると
犬のように遠吠えもしたくなる

夏はなかなか日が落ちないもので
まだ空は燃えている
圧倒されてた子供と
遠吠えをしていた犬の姿はなく
ただ一人景色を眺めている

涼しい風と風鈴の音が
僕を撫でていて
とても心地が良かった
とても嬉しかった

しかし今もなお
山火事のように燃えているのは
夏の夜の前の
赤い夕焼けだ

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