おはよう世界 松本福広
午前4時半、開店前のスーパーの品出しアルバイトのため家を出る。
「おはよう」
一人暮らしなので、心の中の独り言。
周りはまだ暗いまま。車のエンジンをかける。
地方の国道は疎らに走るトラックのライト、信号機、街灯の明かりのみ。
家屋や店の灯りは概ね寝ている様子だ。
空いている道路をひた走る。
空気が昼に比べれば気持ちよく澄んでいる気がする。
SNSでよく見る「おはよう世界」
みんなが寝ている景色を走りながら、誰につぶやこう?
日本語の「おはよう」
人間関係のきっかけの言葉。
朝、知っている誰かと会った時にきっと一番自然な言葉。
皆が寝ている時間
イタリアやエジプトならまだ晩酌の時間。楽しい夜の明かり。
インドやタイでは夜行性を語る人でもさすがに寝ている時間なのかな?
ニュージーランドでは、きっとおはようの時間。
世界も、日本の中も「おはよう」だけでは繋がらない。
それでも、他国の言葉を教えるのは挨拶から。
ぐっどもーにんぐ
ぼんじゅーる
ぐーでんもーがん
さーしゃんはお
僕は目覚めている。
一日を始める。
自分の世界に
おはよう世界。
誰かにかける言葉を
自分に還す。