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スレッドNo.2606

2023/8/15(火)〜2023/8/17(木)の感想と評になります。 齋藤純二

不安が募る夜を迎へて     積 緋露雪さん 8/15


人間は反自然的な存在でいて、さらに自然の無慈悲な暴力性には太刀打ちできず、弱い生き物であるがそれでは終わりたくないのが人間だろう、ということなのだろう。「生き延びる」、ここが一番言いたいメッセージとなっているようです。近年は地球温暖化のためでしょうか、さまざまな自然の脅威が我々に襲いかかってきます。でもこちらの作品では反骨精神で生きてやろう、という強いメッセージが伝わってきます。
自然(地球)からは人間への感情はありませんが、こちらの作品を拝読していますと自然vs人間のようなスタイルになっている構成が作品を面白くしていますね。人間であることの尊厳みたいなものも感じとれます。とにかく人間としての「筋を通す」という表現に力強さが表われています。
自然も人間にとって、神さまみたいにいろいろな恵も与えてはくれます。だからどうか守ってください、とひとは鎮守神に奉ったりするのでしょう。でも、こちらの作品では自ずからの反骨精神からの力を湧き出させなければ、となっています。強いっ。
まあ、タイトルでは不安が募っている意なので、奮起するための作品として書かれているのでしょう。
なぜ人間として筋を通そうとするのか、その根拠(そうさせる事柄、もしくは奮い立たせる内容)に触れた言葉がひとつ欲しかったですかね。そうでないと強さは保てないでしょう。たぶんそこは感情だと思います(悔しいとかこんちくしょう的な……)。そこがないと「生き延びなければ」ということへの説得がなく、作品の筋が見えてこない気がします。

評価はきびしめで「佳作一歩前」です。

ああ、積さんは歴史的仮名遣いを使いますよね。私の父は戦前生まれなので、よく歴史的仮名遣いを使っていましたが、たぶん積さんはその時代の方ではないような気がします。文学的な興味とかでご使用になられているのでしょうか。





杖     喜太郎さん     8/15


思えば遠くに来たもんだ。武田鉄矢さんの歌ではなく、中原中也さんの詩ですかね。年齢を重ねる度に時の流れは加速するようです。私もこの間まで原っぱを走り回り遊んでいたと思えば、今では足だの腰だの衰えを感じつつも、なんとか楽しく歳を重ねたいと思っています。そして、こちらの作品がさりげなく応援してくださり、よし頑張ろうと励まされました。
赤ん坊の四つん這いから歳を重ねて、今では杖をついてなんとか歩くことができている、と。歩けることの喜びをあらためて感じているのでしょう。高齢になると三日動かないと歩くのも大変になると聞きますが、なるべく毎日歩き、立ち止まり空を見上げ、思えば遠くに来たもんだ、と希望に満ちた思い出を懐かしむという日々からのテーマもいいですね。また、数え切れない後悔と懺悔はあるが、今を歩け得る希望をあらためて感じようとする杖のコツコツの力強い音が響いて聞こえるようでした。いい感じで表現されています。歩きたい、この気持ちが大事ですね。

評価は「佳作」です。





おはよう世界     松本福広さん     8/15


午前4時半ですか、とっても早いアルバイトですね。「おはよう」というか、「はやすぎっ」って感じです。ご苦労さまです。道路は空いていて渋滞とかのストレスはなさそうですが、まだ真っ暗で走っているのはトラックぐらい、街の静けさの中、まわりの世界が眠っているところを車で走っている感じが風景が見えるように伝わってきました。そして、おはよう、を世界に言ってみる。それは自分に今日もがんばるぞ、って言っているように聞こえますね。世界はまだ眠っていている、また場所によっては晩酌の時間かもしれないが、自分はすでにおはようと始まっている。そのちょっとひと恋しい感情も表れていて、午前4時半の雰囲気がとても伝わってくる作品に仕上がっています。
SNSでの「おはよう世界」ってあるんですね。つぶやくと返事が来るんですかね。その時間に反応があると、同じようにこの時間でがんばっているひとがいると励みにもなりますね。

一行の文字数が少ないところと、とても長いところがありますので、散髪ではないですが長さを整えると気持ち良いかと。そうすると読者は見やすく(読みやすく)なると思います。作品全体の字列が絵のような形で整って見えると読みやすかったりします。なので私が評を書くときには、作品を読む前にこの形が美しいか見ます。バランスのよい絵になっている方(かた)の作品のほとんどが、上手で読みやすいという持論があったりします。松本さんの場合、句点で改行されているレイアウトなので、「午前4時半/開店前のスーパーの仕出し/アルバイトのために家を出る/『おはよう』」みたいにがっつりスタンダードな改行か、もしくは無理に改行しないで散文的に文言を連ねてもいいかもしれませんね。作品が本になった時には、詩集によっては文字数が25行くらいで次の行に折り返してしまい、一行が中途な綴りになってしまうこともありますので。ご一考くださいませ。でも、松本さん自身の表現においてのスタイルがあると思いますので、これはひとつの意見ですから、おいおい、って時はもちろんスルーしてくださいね。
早朝のおはようがとても伝わってきた、雰囲気をつかんだ作品は良かったです。

評価はきびしめで「佳作一歩前」です。





私の8月の夜空では     紫陽花さん     8/16


ベットに横たわり夜空を見ることのできるお部屋というのが、いいなあ〜、なんて思いながら拝読しました。私の寝床は納戸みたいな部屋で小さな曇りガラスなのでまったく夜空を見ることができません、残念。
8月の熱帯夜で夜空には流れ星でしょうか、プロミネンスでしょうか、それとももしかして花火でしょうか、楽しい映像が浮かんでくる設定のようです。ただ「星の子」がどのような存在なのか(星が遊び出すという想像上の?)良くわからず、読者としては作品を拝読しながらその情景を思い浮かべることがちょっと難しいですかね。星の子と太陽の火の因果関係がありそうだが、それは? もし星の子がファンタジー的な存在であるのならば、思いっきり踊ったり歌ったりみたいに遊んで楽しんでいる様子を描くのもいいでしょう。
出だしの一連で8月の夜が眠れないという流れをもう少しスムーズにした方が良いかもしれません。最初の四行はその後の行と内容が重複していますので、思い切って省いてもいいかな、と思います。
二連は「〜ながら」という表現がちょっと多く少しだらけてしまいますかね。「夜の空」「夜空」とありますが、どちらかに統一がいいでしょう。
眠れない→星の子が遊び出すのを眺め→やっと眠れそうだ。と、このような流れ構成は良かったと思います。もう少し状況が想像できるように推敲してみてください。
評価は「佳作一歩前」です。

「私の8月」の夜が暑いということで、エアコンがもしなかったら、熱中症とか心配ですね……。





スキップするために生きている     朝霧綾め さん     8/17


スキップするために生きている、と言い切っているこの超前向きステップ前進という表現が素晴らしくいいですね! そして、祖母からもらったお小遣いで空色のスニーカーでさらにステップが弾みそうです。「スキップするため生きている」は「楽しむために生きている」ということなのでしょう。
赤ん坊が歩けるようになり、スキップができるくらい身体が成長し、だんだん楽し姿がが見えてきますね。しかし、でこぼこ道でうまくスキップできないこともありますが、そんな時には本を読んで心を整えたり、自分が前向きになれるように空色のスニーカーを履いてみたり、といった山あり谷ありの日々も、どうにか楽しくしようとする内容の構成が読者にとっても充実した作品に仕上がっています。楽しい靴音が聞こえてくるようです。

ちょっとした提案なのですが、一連目を最終連へもっていくと言い切りな感じじゃなくて、さりげなく終わることができて素敵かな、と思います。出だしが赤ん坊で始まるのもいいか、と。題名でバッチリ言い切っていますので、私がスキップするために生きている、ということはすでにご馳走になっていますので。そして最後はさりげなくの方がいいかな、と個人的には思います。

評価は「佳作」です。




。。。。。つぶやく。。。。。

この猛暑、やばいですね。
今日、アスファルトの上をただ歩いていて
生命の危機を初めて感じました。
すぐにコンビニに入り身体を冷してリカバリー。
みなさんもお気をつけてください!

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