とりもつ哀しみ 荻座利守
私の涙は
召喚された涙
目に見えない深い処で
つながっている
遥か彼方の
遠い過去の
忘れられた
埋もれた痛みに
呼びだされた涙
私の嘆きは
召喚する嘆き
すぐそばに遍在する
今この瞬間にも潜在する
深い憐れみと
決して見棄てぬ
慈しみに溢れた
大いなるものを
呼びだす嘆き
私の哀しみは
媒介する哀しみ
遥か彼方の
遠い過去の痛みと
今この瞬間にある
憐れみと慈しみに満ちた
大いなるものとの間を
とりもつ哀しみ
そう
この胸の哀しみも
ひとつの意味と役割を
持っていたのだ
だから
この胸がまた
冷たい愁いの鎖に
締めつけられることが
あるならば
そこに小さな光を
見出だそう
埋もれ失われていた
遥遠なる痛みを照らす
小さくも
慈悲に満ちた光を