歌舞伎詩人たちへの、アンチテーゼ えんじぇる
詩とは、闇に向かって吠えるものです。
世間に向かって吠える詩は、歌舞伎の詩です。
メイクをし、着物を着、充分な重装備をして、建前と見栄を張る。
ジョーカーは、誰もいない暗がりで、死の舞踊を踊る。
詩は、カブいてはいけない。
詩で張る見栄と建前は、言葉への執着心と、歪みを不潔と捉える道義心と感受性。それを正そうという努力。その姿勢を示すことと、それが認められなくてもやるのだという虚仮威しの中にあります。
つまり、詩は本当はカブいているのです。謡い、踊っているのです。
目に見えないものへの愛。そして、それを守る正義のために。
雷のように怒り、嵐のように、荒れ、風のように吹き、水のように流れ、石や木のように沈黙を貫く。
詩に思想があってはいけない。詩は常に、流動体でなくてはいけないのです。