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スレッドNo.2740

9月 5日(火)~ 9月 7日(木) ご投稿分、評と感想です。  (青島江里)

◎9月 5日(火)~ 9月 7日(木) ご投稿分、評と感想です。

☆潰滅して行く  積 緋露雪 さん

一人の人間が死を受け入れ旅立つまでの様子をこと細かに綴られていますね。「~した」「~である」と淡々とその様子を綴ってゆくその方法。徐々に進んでいく時間とその寂しさ。水を手にして幼児のように喜んだという描写は、喜びだけでなく、ことごとく死期が近づいている表現になっているとも思いました。

生きるということは喜怒哀楽があり、ふだんは大人だからという理由で心底まで自らを晒しだすということは、ほぼほぼありませんが、病になると余裕が持てず日頃は出さない自分を出すこともありえますよね。そしてその時、本人の知らなかったことがわかり、他の人と通じ合うことができたということもありそうです。

生と死は地続き。この言葉通り、ふだんはなかなか意識しないことを、この作品によって、改めてそうなのだと感じる時間をもたせてもらえました。急けても避けることのできないもの。世の中の一部で論議されていること、例えば、アンドロイドになればや、もう一人の私を作って云々などといわれる中、その双方、どちらを取っても本当に生きるという意味にはならないのでは?とも考えさせられました。生きるということには死と向き合うことが必須で、そして、心というものがその中核には必ず存在するのだと考えさせてくれる作品にもなっていると思いました。

この作品の中で一つだけもったいないと思ったことは、最後の締めです。比較的長めの事実を連写の締めとして最終の締めの表現が「感嘆させられたのである」で終わってしまっていることです。「武田泰淳の死と同じ」ということをおっしゃっているのでしたら、そこをもっと前に押し出すような持って行き方をされてもいいのではないかと思いました。あまりにも、そう思いました的な終わり方をしているのが、とてももったいないと。或いは180度、違う持って行き方で、静かな余韻を残せるようなフェードアウトを意識した終わらせ方という方法もいけそうです。人の生死について考えさせられる作品。今回は佳作一歩手前を。



☆マシな方さ 喜太郎さん

「大部分が美しいから汚れが目立つ」
納得です。ものすごく身近な例をいえば、真っ白なシャツでカレーうどんとか。濃い色のシャツで食べるのとは違いますよねぇ。ちょっとこれは生活感プンプンすぎて、作中の美しい表現とは、随分はずれてしまいますが、この感覚にはうなづいてしまいました。

大部分が美しいからの表現を起点にして繰り広げられる表現もさらさらと流れる川の水のように美しく、そしてきっちりと筋の通ったしっかりとした表現になっていると思いました。

作中半ばの「過ちを繰り返しても/それが過ちだという人がいる」ですが、ちょっと伝わりにくい感じがしました。おそらく、過ちを繰り返しても、それは何かプラスに繋がるよって、言ってくれない人のことをさされているのではないかと思いました。これを短めにまとめるって難しいですよね。詩のリズム感のようなことも入れたいと思ったりすると更に。私だったら「過ちを繰り返す者に/過ちは過ちに過ぎないと言う人もいる」のような感じにするかなぁ。

あとは最終連の「夏の暑さがニュースになるなら まだマシな方さ」ですが、前行との繋がりが、個人的にはちょっと浮いている感じがするので、クッション的な役割として「真夏の陽ざしの下にさまざまな生きごと」のような内容を添えるといいかなとも思いました。やさしさに満ちた爽快な作品。今回は佳作一歩手前で。



☆グレーテルその後 紫陽花さん

誰もがよく知る童話を伏線として、人の中に生まれる真っ黒な気持ちについて表現されていると思いました。いつもご投稿してくださる作品とは、また違った感じの作品になっているようにも思えました。

この題材をそのまま童話テイスト抜きでと考えてみると、かなりドロドロしたものになっているかもしれないですね。童話テイスト外して読んでみると、「お兄ちゃんと私は奴らの黒い心を燃やすんだ!」とか「私の真っ黒な心が白煙を立てて燃えて・・・」とかになってくる。そう考えると、童話テイストが入ることでかなり緩和されているように思えました。読んでいる最中は、頭の中はグレーテルが登場してくるから、すいすいと読んでしまえるわけですよね。

ただただ童話の世界に重ねるだけでは、作り話のように思えてきそうなところですが、うまい具合に今度は、ご自身の日常に考えている黒い気持ちについてのことを投入していますね。それがまた誰にでもありそうなことだから現実感が増して、今度は童話テイストから遠ざかってゆく。この間合いが絶妙だなと思いました。更に、最終連では、童話の世界に戻り、白い煙をみて自分の真っ黒な気持ちかもしれないと、自身が自身の心の一部が燃えていくのを見送っていたり。とっても不思議な気持ちになりました。不思議なんだけど、現実にある言いたいことは言えていて。とても興味深く。テーマのアプローチに個性が光る作品。佳作を。



☆100ねんご  じじいじじいさん

地球温暖化が進み、自然環境の悪化が目立つようになってきましたね。危険とまでいわれる、とびぬけた暑さ。異常な降水量。特に子供たちが自然と触れ合う機会の絶好のチャンスの夏休みのことを思うと、とっても残念、そして不安なことの一つにもなっていると思います。今では、大人だけの問題ではなく、子供たちも関心が深いテーマになっていると思いました。

最初に思ったのは、タイトルがいいなと思いました。「やさしいみらい」や「かがくのしんぽ」にしてしまったら面白くないと思います。「100ねんご」とするところがよかったです。そして「10ねんご」ではなく「100ねんご」とするところがよかったです。小さな子供たちは大きなことに気を惹かれることが多いかと思います。友達100人!とか、子供銀行に100万円!とか。大きな数字にすることで、この詩って、より一層、何のこと書いているのかな?と思ってもらえそうですね。

二連目の思いは、そのまま子供たちにそうだねって思ってもらえそうです。やまやうみが、まるごとなくなってしまうって発想。大人目線では、山や海が荒れてしまうという発想はありそうですが、思いつかないような気がしました。

三連目の「かがくはしんぽしてもひとのこころはなくならないでほしい」について。細かいことを言えば、「かがくは」は「かがくが」にした方がいいと思います。それ以外ですが、小さい子供さんが、このようなことを一生懸命書こうとしている姿、或いは、この言葉をみてうなづいている姿を思い浮かべると、何とも言えない純粋なものを感じました。とてもよかったです。それから、欲を言えばその次の「やさしいみらいがいい」ですが、周りの言葉使いに合わせる感じで、もう少し年齢を下げた感じにすればいいかもしれないと思いました。

作者さんが、子供が読むためにつくったというよりは、子供になって書いたという気持ちが、私にとって、今までの中で一番感じられた作品でした。今回はふんわりあまめの佳作を。

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九月になりましたが、まだまだ夏の延長戦は続いています。今年の秋は短いかな?どうなんだろう?もう少しすれば、本格的な新米シーズン。がっつりと、新米のおにぎり食べたい!

みなさま、酷暑続きでおつかれ気味のおからだ、どうぞご自愛ください。
今日も一日おつかれさまでした。

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