手紙 おおたにあかり
久しぶりに開いたページに
いつも通りの好きを名前が並んでいて
今更に指が僅かに
震えた
遠ざかるのに
理由なんてないんです
好きになるのにも
理由がないように
時間はぽっかりと穴みたいに
空きはしないから
わたしには沢山沢山
雑多なことがありました
それでもずっと書いていたし
今もこうして書いています
新しく始めるだけじゃなく
振り返り走って戻りたくなる
理由ですか
上手く言えないから
都合のよい不届き者ですが
秋だから許してくれませんか
いつもより暑さが長引きそうな
そんな秋ですから
指は僅かにじゃなく
音を立てんばかりに震えて
懐かしいページ
開いたら
いつも通りの名前
やっぱりうまく詩にならないけれど
ただ会いたくなって
それだけです
わたし、戻ってきていいですか