MENU
505,836

スレッドNo.2763

川縁にいた  理蝶

目を開けると
川縁に座っていた
夕陽が涼しいよ
それで僕は元いた場所から
遠く離れたことに気づく

この場所は少しずつずれている
僕の記憶に
まだいくばくか自信があるうちに
君の顔をメモ帳の端に思い出してみる
確か曽祖父は画家だったのに
君はいつまでも君じゃない

涼しい夕陽を背に歩く
白い影が伸びる
僕はずいぶん遠くへ来てしまった
そしてまたずいぶん遠くへしか
向かうことができないな
戻ることはできないな

多分この川を海まで辿れば
一つ区切りがつくのだろう
僕は僕であったこと
それすら忘れて溶けるのだろう
わかっていてなお
戻ることはできないな
生きたということは
こういうことなんだろうな

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top