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スレッドNo.2766

大変お待たせいたしました。8月22日から8月24日のご投稿分の感想と評をです。

8月22日から8月24日のご投稿分の感想と評です

今回も大変お待たせして失礼致しました。
私事で多忙になってしまい、お待たせしてしまったことを深くお詫び申し上げます。


「白髪」 喜太郎さん

喜太郎さん、大変お待たせいたしました。
今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「白髪」の評を送らせていただきます。

私も白髪増えました。えっ、こんなに!?と急速に。
白髪染めは返って白髪を増やすからよくない、とか、加齢だけでなくストレスが原因
などいろいろ言われていますね。
この詩の主人公は白髪を染めながら考えます。
<見た目を気にしてか
老けにあらがうのか

そして、その先も考えます。

<人もやがて白髪のように白い灰になるだけ

<赤く小さく生まれ
青く大きく育ち
白くなり互いに染まりたい色を探す

ここ、いいですね!人生を色で展開していく。この流れが自然でスッと入ってきました。
最後もどれだけの色が纏えたか、と色で人生を振り返ります。
小さなため息を吐いた主人公の心情を想像させてくれる終わり方も見事でした。
御作秀作とさせていただきます。





「息子と話したい母」 紫陽花さん

紫陽花さん、大変お待たせいたしました。
今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「息子と話したい母」の評を送らせていただきます。

思春期のこどもを持つ親の苦悩から始まります。子育ての難しさ、
思春期特有のアンバランスな態度を受け止めて、見守ることを続ける母。
何か聞かれる、という何気ない瞬間に安堵する所にぐっときました。
ここまではよくあるお話。ここからまさかの展開になります。

アレクサ。言葉一つで的確な反応をしてくれる音声AIです。
ちょっと前までドラえもんの道具ほど夢のような機械でした。あったらいいな、便利だろうな
と、楽しい気分で夢見ていました。この詩の後半は、それが現実のものとなった今が展開されています。

AIの急速な普及に懸念を持って、個人的に考えたことを思い出しました。 
人から面倒を取ってしまうとどうなるか。考えることをしなくなってしまう。
待つこともしなくなって、心を動かすこともなくなってしまう。
便利と引き換えに失ってしまうものが大きいだろうと。
何でも個人個人の使い方ではありますが。

アレクサに息子を取られてしまったような母親の気持ちが、これから先どうなっていくのか。
アレクサを破壊する姿や母親が家を出てしまう光景など目に浮かんできました。
ハッピーエンドとしては、息子がアレクサに飽きて母親と会話するようになる、という展開。
よくあるお話からAIにより親子関係の危機まで展開される流れが見事でした。
御作名作とさせていただきます。



「秘密結社」 凰木さなさん


凰木さなさん、大変お待たせいたしました。
今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「秘密結社」の評を送らせていただきます。

冒頭、若者が椅子に立ち上がって言います。
「私は不自由と差別と憎しみの国を造る!」と。
こちらは、どんな酷いことを考えているのだろうと、不穏な流れを予測します。
禁止事項の下には人にとって良いことが書かれています。
一見するど「なんだいいことじゃないか」と思ってしまうのです。
よくよく考えてみますと、そのために排除されていく人がいて、自由にものが言えなくなる、
国になる、国家のために生きることを強いられるようになる。これは恐ろしいと。
この恐ろしさに気づく人と気づかない人むしろこちらの方が良いと思った人の
間で分断か起きる可能性も見えます。極端なようでありえる世界だと感じたのは
今の世の中の動き、在り様を見て危機感のようなものを感じるからでしょうか。
この詩をどう解釈するか、読む人によって違いが出ると思うので、自分以外の人の
感想も聞いてみたくなりました。
御作秀作とさせていただきます。



「揺らめく御灯明に照らされて」 積 緋露雪さん

積 緋露雪さん、大変お待たせいたしました。
今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「揺らめく御灯明に照らされて」の評を送らせていただきます。

盧舎那仏という仏様が出てきます。静謐な空間。
和蝋燭の御灯明によって闇から浮かび上がる盧舎那仏の姿が見えます。
その姿を見ながら主人公は揺らめきについて考えます。
<西洋蝋燭よりも炎が大きく揺れる和蝋燭は
盧舎那仏を収めるこの本殿の空間を揺らめかせる

揺らめきは惑いや不安定なものではなく、心地よいもので。
盧舎那仏が此の世界は揺れる波でできていることを悟った。この揺らぎは心模様のようでもあり、命の鼓動のようでもあり。
揺らめきを邪念とせず、
<揺らめくことにこそ人間は覚醒させられ
新たな宇宙を垣間見る瞬間が訪れる

と、壮大な視点で捉えています。揺らめきと成長過程として考えているところが興味深かったです。

盧舎那仏の姿がスッと心に入って、大きく波打つ心が鎮まるのを感じました。
御作佳作とさせていただきます。



「産声」 妻咲邦香さん

妻咲邦香さん、大変お待たせいたしました。
今回もご投稿くださりありがとうございます。
僭越ながら御作「産声」の評を送らせていただきます。

この詩の主人公は死を目前にしています。
それでもかなしみや苦しみではなく、「産声」を
「歌っていた」瞬間から断片的な記憶が展開されます。
「今ではすっかり懐かしいし」「思い出すだけで嬉しい」
記憶。幸せを感じることが多かった人生だったのでしょう。
一抹の寂しさを感じながら、次の世界へ希望を持ちます。
誰もがいつかは迎える瞬間。それをどんな思いで迎えるか。
最期に何を思うか。
先月亡くなった父を思い出しました。苦労の多い人でしたが
最期は眠るようにすっと息を引き取りました。
どんな人生だった?と改めて聞いてみたくなりました。
死というテーマでも暗い沈まない、鮮やかな色彩と希望のある
一篇でした。
御作秀作とさせていただきます。



今回も大変お待たせして失礼いたしました。
まだまだ暑い時期が続いていますので、皆様どうかご自愛ください。

夏生

編集・削除(編集済: 2023年09月18日 20:10)

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