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スレッドNo.2787

ふる里の渚  上田一眞

夏はめぐりめぐって
再び ふる里の渚を歩く

十歳の夏
学友たちからシカトされ
独り渚で百の石を割った
彼らとの交流を絶つと誓ったあの日から
六十年の歳月が流れた

渚にて再び割る石
投擲した石の波紋が広がる

 ひとつ
 ふたつ
 みっつ

それから 小さくなる波の輪に
枯れたこころを
投げ入れる
孤独を
投げ入れる

なにひとつ変わっていない
こころのあり様

誰もいない晩夏の海
とろりとした濃密な潮(うしお)に
身を浸し
言葉が枯れたぼくは
ただ静かに沐浴する

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