生命を抱く エイジ
夜10時も過ぎると
透析歴5年の僕にとっては
起きてるのも辛い
辛いと感じるや否や
僕はすかさず眠剤を飲み
布団にくるまって
心地のいい体勢を探す
右を向いたり
左を向いたり
仰向けに寝たり
同時に呼吸も感じている
飲水料の多いときは
すーっと深呼吸して
生命の安全を確かめる
息を吐く時も
静かに集中して
身体全体で呼吸を感じる
いまだに冷房をつけて寝る
冷房で冷たくなった
布団を脚や腕で感じる
夏の終わりとはいえ
日中は暑いこの九月に
冷たいふかふかの塊は
身体に心地よい
そうやって一時間近く
僕は自分の生命を抱く
透析患者は朝起きると
冷たくなっている事もあるという
大丈夫、大丈夫
そう言い聞かせながら
呼吸を感じつつ
僕は生命を必死で抱きしめる