茶褐色 大杉 司
人によっては綺麗に見えるが
人によっては汚く見える
そんな茶褐色の季節が
目の前まで来ている
この色を見ると
栗を想像するのだが
それと同時に
荒れた村々をも想像する
穏やかな風が吹く一方で
淀んだ風も吹き荒んでおり
逃げ惑う人や犬
そして鳥や馬までも
我を忘れてしまっている
このような季節を
誰が待っていただろう
誰が望んでいただろう
良く分からない
昔も今も
茶褐色には変わり無いが
この季節は一層
黒く汚く見える
差し伸べる手も無く
瓦礫に埋まったままの子供
突然と標的にされ
爆発する村々
そんなニュースばかりが
我々の前に現れ
消えること無く
脳裏に残る
早く紅葉色になって
僕たちの心を癒やしてほしいのだが
このような事態になった以上
その色を見るのは当分先になりそうだ