満月の夜 紫陽花
まあここにお座りなさい
満月の夜のお茶会が始まりました
お茶会の主人はうさぎ
とても不思議なお茶会は
金色に光る月の光で満ちています
お客様は夜に迷える老女たち
行き場をなくした老女たち
どうしてか分からないけど
みんな悲しい顔をしている
今日の新しいお客様の
お悩みはなんでしょう
老女が話し始めます
私にはお金も家も
あるのです
近くに家族も住んでいるのです
でも寂しいんです
誰も私の事を分かってくれない
そんな気がして
1人で家にいると
涙が勝手にこぼれるんです
うさぎはじっと聴いています
ただただ聴いています
そのうち老女は
静かになります
すうっと横になると
足が固まり始めます
月のでこぼこに沿うように
上半身が固まり始めます
月の光に照らされて
お月様の模様は
そんな老女たちの寝姿で
老女たちの行き場のない
寂しさと悲しさが
今日も優しく
光るのです