空想サーカス 久遠恭子
溶け込んだ布団の中で
丸くなっていると
ふわっと宙に浮いて
世界が反転する
サーカス小屋は今日も大盛況
ぞうさんがグレープフルーツみたいなボールを転がして
今にも食べそうになっている
道化師は空中ブランコでショーをする
小刻みに震えてるのを隠しながら
まやかしの夜
楽しげに白い鳩がシルクハットから飛び出した
めくるめくサーカスにようこそ
夢見る時間は一瞬
目が覚めると
いつの間にか
朝が来ていて
でも夜の続き
テーブルがあって椅子があって
ベッドがひとつ
扇風機の風でティッシュペーパーが揺れている
簡素な室内
いつもの部屋
瞬きもせず
ただ見つめる
瞳を凝らして