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スレッドNo.2885

感想です  10月10日(火)~10月12日(木)分です  滝本政博

◎10月10日(火)~10月12日(木)ご投稿分
ちょっと早いですが載せます。明日から一週間くらい忙しくなってしまうので、頑張って書きました。
今月より評者の一員になりました、滝本政博と申します。
新米ですので至らぬ点も多いと思いますが、よろしくお願いいたします。
初回ですので、すべて感想となります。
では始めます。緊張いたします。


「I AM GONE」  三浦志郎さん  10/10

印象的な導入部です。居合の刃が抜かれるように鮮やかです。
映像が浮かんでまいりました。モノクロの街に雨が降り、そこに、そこだけパートカラーで一輪の赤い花弁をつけた薔薇が落ちている。雨は花に容赦なく打ちつける。
設定は単純なのですが、とてもドラマチックな内容になっていて驚きます。
薔薇の花弁の赤は血を、生命を象徴(寓意)しているようです。昨今のきな臭い世界情勢を考えると、当事者ではないというだけで、関わらず、考えずに思考停止してしまう人々に対する警鐘のようです。それを声高に叫ばずに、詩の中の私もそのような世間の一員として、花を持ち帰ることはないと自分を告発している。苦い態度ですが、薔薇を救う手はあるのだと、希望の芽もなかに書かれています。

形式としては後半、

( SAME OLD STORY )―よくある話さ
過ぎ去る人々はそう思いつつ
視線を柔らかにして
気持ちだけ薔薇の姿に
白いヴェールを掛けていく

それだけだ

 中略

( I AM GONE )―さよなら もう行くよ
その旋律のまま立ち去った
見つめたまま何もしなかった
所詮は
私も世間という名の一人

くだらぬ男だ

と英語からの繰り返しがあり、リズムが整っています。
英語パートは私が疎いだけで、なにか元歌になるものがあるのかも知れません。



「秋のひととき」  喜太郎さん 10/10

詩の中に優しい時間が流れていて気持ちがいいです。
時間がゆっくりとながれている
と表現していますが、平和で美しい時間はゆっくりと流れるのでしょう。

<二人を秋の日差しが
 木々の間からキラキラと照らしていて
 まるでお姫様にプロポーズしている王子様の様
 そこだけがゆっくりと時間が流れている>
ここいいですね。
世界は美しいのだと、確信させてくれます。

老夫妻の仲睦まじい様子と終わりの方の僕と彼女の対比も良いです。

これは秋の詩ですが、
ブラウニングの春の詩を思い出しました

春の朝  上田敏訳

時は春、
日は朝、
朝は七時、
片岡に 露みちて、
あげひばり、名のりいで、
かたつむり、枝にはひ、
神、空に しろしめす、
すべて世は 事もなし。

こちらは宗教的な詩ですが、流れる時間に共通するものがあるのを感じます。



「純粋惑星の放浪」  おこぜさん 10/10

最初の感想でこう言うのは避けたかったのですが。
ごめんなさい、正直よくわかりませんでした。
タイトルに救いを求めようとしたのですが、う~むと唸ってしまいました。
五音と七音の心地よいリズムで進みますが、
「隠し子は」で迷ってしまいました。この言葉がその後のキーを握るとおもわれるのですが、具体的に何を表し、示すのかわからないのでした。
わたしとは合わなかっただけかもしれません。
また書いてください。



「茶褐色」  大杉 司さん 10/10

この詩も昨今の世界情勢を憂えている内容にないっています。
そのように関心を持ち表現することはとても重要だと感じます。

米国の作家カート・ヴォネガットに「坑内カナリア理論」があります。〈芸術とは社会全体の表現にほかならないもので、社会が危険な状態になったとき、芸術家は率先して炭鉱のカナリアのように声を上げるべきである〉(伊藤優子編著「カート・ヴォネガット」)。
昔、欧米の炭鉱員はカナリアの籠を先頭にして進んだ。人間が感知できない有毒ガスが多ければ、その歌声は止まり、卒倒する。人間はいち早く退避した。

わたしなどそのあたり反省するべき点が多いのですが、やはり詩人も社会的な問題に関心を持ち、その芸術分野特有のやりかたで対応してゆくのも大切なことだと思います。

秋の色(オータムカラー)を「茶褐色」と表現することで、爆撃され蹂躙された町や人が立ち現れるのですが、その辺のからくりや表現を、もう少し整理し推敲されるとさらに良くなる作品だとおもいます。



「西瓜➗」  えんじぇるさん 10/11

面白いな^^。
<西瓜は割るものである。>
と断定から入る。
次の行は
<果たしてそうであろうか?>
と疑問文である。
それ以後も言葉を使って考察し遊んでいる。
詩の中にユーモアがあるのがいいよね。
最終行は
<女ではない。女はメロンだ。>
と断定である。なぜそうであるのかは書かれていない。
笑ってしまった。だが、なんだか納得してしまった。
タイトルもお洒落で、センスを感じ感じます。
なお、井上陽水の歌に「ダメなメロン」というのがあって、私は結構好きです。



「満月の夜」 紫陽花さん  10/12

<まあここにお座りなさい
満月の夜のお茶会が始まりました>
詩の導入部はとても大切だと思うのですが、これは自然でいいですね。
です、が、
最後の二連を読んで疑問に思ったのですが、お茶会は月で行われていたのですか?
わたしは夜、どこかの場所で月光を浴びて行われていたのだと思っていたので、少し混乱いたしました。あとでよく読み返して、あっそうかー、と思いましたが、やはりこれでも不十分だと感じます。その辺はよくわかるように書いた方が良いかと思います。

眠れぬ夜、孤独な老女たちが月でお茶会をする。そのうちに老女は固まりはじめ、月そのものとなり、寂しく悲しく光り出す。
幻想的で不思議な雰囲気の作品です。
ベルギーのシュルレアリスム絵画を代表する画家、ポール・デルヴォーの世界を思い浮かべました。


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以上6作品でした。
少しずつ慣れてゆくと思うので、温かい目でみてやってください。

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