天敵 妻咲邦香
真っ赤に熟れた木苺の
そのすぐ隣
触れそうなくらいの距離で
薄目開けて強張る背中
私、あなたの天敵じゃありませんよ
と、呟きながら
笑い噛み締め
顔近付ける
私、こう見えてただの枝ですよ
とでも言いたげに
動かない
動けばいいのに
触れちゃいますよ
いいんですかと
それでも渋々やっとこさ
一歩前に進んだだけで
案の定、指先触れて
木苺のすぐ隣
太陽が覗き込む
どれどれ、と
真っ赤に熟れた木苺の
そのすぐ隣
触れそうなくらいの距離で
薄目開けて強張る背中
私、あなたの天敵じゃありませんよ
と、呟きながら
笑い噛み締め
顔近付ける
私、こう見えてただの枝ですよ
とでも言いたげに
動かない
動けばいいのに
触れちゃいますよ
いいんですかと
それでも渋々やっとこさ
一歩前に進んだだけで
案の定、指先触れて
木苺のすぐ隣
太陽が覗き込む
どれどれ、と