夢 晶子
早く帰してください
君は言う
ここは私のかりそめの場所
あなたは私にはどぎついのです
激しく動く心臓も貪欲な腸も
真っ赤なあなたにつられて
私まで炎のように赤くなってしまう
でも
僕は言う
君は気持ちいいのでしょ
くすぐったいのも
痛いのも
僕につられて高まるのも
僕も君に反応するのは辛くて良いよ
しがみつかないでください
帰りたいのです
汚れきる前に
命を奪って長らえる身体から
次々と来る刺激で私が怪しくなる前に
清らかな場所に帰りたいのです
君は君を良いようにイメージしているだけ
君を死ぬまで離さない
だって僕達はひとつ
君はいつか機能しなくなる内臓という僕が見ている
心という儚い夢