寂しい夜に 紫陽花
窓から
釣り糸を垂らす
そっと糸を垂らす
釣り糸の先には
チョコレートクッキー
夜の中を探る
釣り糸に反応がある
小さな星が掛かったのだ
そっと引き上げる
しかし釣り糸の先には
なにもない
私はまた釣り糸を垂らす
寂しい夜はこれをずっと
繰り返すことにしている
ただ年に2回ほど
本当に星が釣れる日がある
星は金属的な音を立てて
私の手の中で暴れる
星は何かしゃべっている
私は星の言葉が分からない
星をなだめるのに苦労する
一生懸命な私の顔を見て
星は少し静かになる
やれやれと
落ち着いた星は
そのうち手の中で
ぼんやりと光りはじめる
こんな晩は
星を枕元に置いて
チョコレートクッキーを
一緒に食べながら
朝まで星の話を聞いている