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スレッドNo.2940

評、10/13~10/16、ご投稿分、残り。  島 秀生

思うんですが、全国の大都市のほとんどは条里制の名残があるので、碁盤目状に東西と南北の道が走っているし、交通網もそれに沿っている。
東京だけがそうなっていないので、他府県の人間が東京に行って迷いそうになるのは当然のことだと思う。
思うに、家康でなければ、他の武将であれば、地形のことが少々あっても強引にでも、碁盤目状に東西・南北の道を、東京に作っていたことと思う。すると今の交通網も変わっていただろうなあと思う。

以上、東京の人は、大阪の地下街が迷路だと言うけれど、大阪の人は、東京の地下鉄の方が余程迷路だと思ってるという話でした。
(それ、一緒の話か??)



●江里川 丘砥さん「言葉を」

読んでいて、ちょっとポロリきてしまった。
いい詩だねえー

この後悔は私もあるんだよね。
とりわけは若い時、我が強かったし、反発ばかりしていたから、どれだけの温かい言葉やどれだけの大切な言葉を取りこぼしてきてしまったんだろうと、自分の未熟を後悔したことが何度もあります。
なんていうのか、何ヶ月も何年も経ってから、ハッと、あの言葉はそういう意味だったのかと気づくことがある。なんであの時に、気づかなかったんだろうと思う。なんで気づいて、ちゃんと言葉を返さなかったんだろうと悔いる。
私、結構ニブイ人間なんで、そんなことがちょくちょくあるのです。
まあ、未熟な人間なんでしょうがないや。ちょっとずつ、ちょっとずつ、マシになっていくさ、と開き直るばかりです。

江里川さんのとはちょっと違うかもしれないけど、私も「言葉取りこぼし名人」なので、日頃から取りこぼしに後悔がある人間なので、この詩はとても刺さりました。ちょっと泣けました。
詩を書く人は、言葉のことを考えてる人間だから、この詩に共感する人は多いんじゃないかな。

名作且つ代表作です。文体もキレイに書けてました。文体の力量も上がったと感じる。
この詩は、このままでOKです。


●まるまるさん「キミ育て」

いくつの時なんだろう。たぶん10歳までかな? 初連から2連の頃って、ホントによくできた子だったんですね。すばらしい。
3連以降は、反抗期が続いているのか、友達にマザコンと言われたくない大人ぶりたい年頃なのか、はたまた単に無頓着なのか、といったところですね。
3~4連の態度はちょっとムカッとくるとこですね。でも、挨拶を「言わされてる」感にはしたくないという気持ちなんですね。

2連の初行、「そういうことが」より「そういうとこが」の方がいいかな? 気になったのはそこだけです。
あとは初連から8連まで、とてもよく書けていて、スルリと読め、ストンと落ちました。

9~10連は、ちょっと神経質になってる気もするけど、これも親の気持ちですね。1~2連の年齢の時にパーフェクトだっただけに、どうしても比較してしまうのかもしれません。

親の気持ちが本当にわかるのは、自分が子の親になった時なので、きっとその頃にはまあるい、いい人になってることでしょう。親への感謝の気持ちも表せる人になってるにちがいあありません。先のことは全然心配ないですけど、問題は、作者が「今」、会話する子になって欲しいと思ってることでしょうね。
うーーん、大学行くまで無理かなあー 視野が広がると変わるんですけどね。いずれまた受験勉強の時が来るでしょうから、志望校を連れて回ったげるのもいいかもしれませんよ。
とりあえず、一緒にどこかへ外出してみては?

というわけで、いらんアドバイスがくっつきましたが、秀作プラスを。


●エイジさん「愛ってどんな色」

余談から先に言います。
この詩、彼女に贈る求愛の詩だとしたら、物凄くステキだなあーと思った。用途的にはそっちに使うのがベストの詩だなと思いました。余談でした。

最近、本を読み込まれているのか、大きなテーマに挑戦して書かれますね。
タイトルは「愛ってどんな色?」ということなんですが、どちらかというと、「愛とは何?」という大きな命題を問うていってる作に感じます。
というのは、「色」だけを直接模索してるのではなく、

初連では、正・誤から → 色
2連では、距離から → 色
3~4連では、自由から → 色

という具合に、多角的に問うているので、「色」と言いつつ、本当は愛の本質に迫ろうとしているものと感じます。逆にカラーとなるものは、ほとんど登場しないので、タイトルからすれば、意外な展開です。
問いかけは、天に問うように、あるいは読者に問うように繰り返されますが、冒頭言いましたように、これが特定の人に対してのものであれば、なかなかの迫り方にも感じます。これまでのエイジさんの詩のタイプとは異なるので、この解釈が合ってるのかわからないのですが、そういう愛を語る詩への挑戦とも読めるものです。むしろ詩的には、そういう読み方をした方がずっとスルリといくものですので、今回は知的追求のものというよりは、私はそっちに読んでおきたいと思いました。

表現面なんですが、2連のドウダンツツジ。3連の滝壺は、キレイにフィットしてるなと思うのですが、4連の「フィルター」の意味がよくわからない。秋空にフィルターがあるとすれば、真夏の直射日光を遮ってくれるようになった1枚の熱防御フィルターのようなものでしょうかね(だから涼しくなった)? でもそれは「脆く儚いもの」ではないので、この「フィルター」のイメージがやっぱり想像つかない。「光のプリズム」のようなものと間違ってないですかね?? ここが一つ、意味不明の難所ですね。
あんまり長くない詩だけに、ここに一つ難所を抱えてるのは、結構ダメージ大きいですよ。
ここを直すという条件付きで、秀作プラスにしておきましょう。

ところでエイジさんはここのところ、「私はこう思う」の書き方から、「○○とは?」という知的命題から入る書き方に変わってきておられるように感じる。書き方的には前者の書き方の方が書きやすく、それが基本形でもあります。後者の書き方は、より知識・思考を要する書き方で、うまくいけば優れている反面、リスキーでもあります。
いまエイジさんは後者に、あるいは命題への問いに、自身の関心が向いておられるので、後者の形で書いておられると感じるのですが、それは自身の無駄にはならないと思う。いつかひと巡りして、また前者の書き方に戻ってきた時に、そこでの経験や技量が上積みになって、真価が発揮されることと思います。


●積 緋露雪さん「妄想が現実に膠着する日常にて」

ちょっとテーマがデカ過ぎるなあの感があって、これだけデカく構えると、このサイズでは書けないというか、書こうとすると、どうしてもディティールに踏み込まない大雑把な判断があるところは否めなくなります。本当はもっと小区分のテーマで細かくやって欲しいなあというのが希望です(「人類」に着地させようとするから話がデカくなるのであって、なにも「人類」というところに着地させなくても良いのです)。

しかしながら、このサイズなりには、よく書けていると思う。ちゃんと思考ができています。
観察力もあって、これだけいくつもの外的・内的要素を考え、組み合わせて複合的に思考できているものであれば、読むに値します。価値アリ作です。内容も概ねは賛同できますしね。

思考だけでも、ある程度詩にできる能力のある人だなあーと思った。
文体も、ちゃんと自分の文体を持ってる人ですね。

ただ終連は、思考だけではマズイと思ってつけたものか、ちょっと、取って付けた感が否めない。

この詩のあるべきをいうと、風景なり日常なりを主体で書かれた別の詩を、前に合体させた方が、バランス取れていいかもしれませんね。
イメージでいうと、行分けで4~5連くらい、前にあり、それからこの詩の1~4連は行足が他と全く違ってしまうので、いっそ散文詩の形で嵌める。それからまた行分けで終連ですね。そういうイメージです。

この詩における特筆を言えば、いち早くイスラエルとハマスの戦闘を書き、アメリカのDouble Standardに、皆がとまどっていることを書いてくれてる部分です。
おまけの秀作にしておきましょう。

それから、
私は基本的に、旧かな(歴史的仮名遣い)で詩を書くことに反対なのだけど、積さんは、きちんと旧かなを勉強されている方で、旧かなを正しく使ってらっしゃる。よく見かけるマガイモノ旧かなではなく、積さんは本物です。ここまでやっておられる方であれば、私も反対はしません。


●じじいじじいさん「たいよう」

短くしか書いてないのだから、このサイズで、はしょろうとするのは、やめましょうよ。
2連の2行目、

 たいようのえがおがみれないから

は、初連2行目を逆にしただけで、書いてないに等しい。
1、2、3連で、晴れ、曇り、雨となっているのですから、それぞれ2行目は違うことを書かないといけません。2行目も3とおりにならなければいけません。
3連2行目で、

 たいようがないているみたいだから

と書いているように、2連2行目も違うことを書かないといけません。初連を否定語で置き換えただけなんていうのは絶対にダメですね。このサイズの詩では致命的です。

で、そこを直したとしても、この詩はイマイチです。
あのね、短い詩というのは、本来圧縮形なのです。ホントはそれの2倍、3倍の中身のものが圧縮されて、そのサイズになったものなのです。
それだからこそ、作者の考え方や人間性など、そこに書かれてある文字以上のものが、バックボーンに溢れ出して感じられるような作になれるのです。
ところがこの作は、最初からこのサイズのものしか考えていない。そんなだから、その1行もおろそかに書くわけです。

なんか最近、結論に行くのを急ぎ過ぎてませんか? 詩って案外、プロセス書く方が大事なのです。プロセスを書けてない詩に名作はないですよ。
足元を書かないうちから、もうゴールを見てる気がします。ちゃんと下書きをしてから、構成を立てて、書いてみて下さい。
今回の作は、じじいじじいさんの作の中でもかなり良くない方の作ですよ。一歩半前です。

編集・削除(編集済: 2023年10月28日 05:01)

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