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スレッドNo.2942

夏の終わりに  U.

心は、花火のよう
暗い空に、深く、深く、昇って
裂けて砕けて、そして散る
いつも昇っては
裂けて砕けて、そして散る
昨日までの私だ

今日は
空の青の青さに見とれて
高度1万メールのうろこ雲が
律儀に並んで
  静かだね

水無し川の川辺を歩く
あなたの髪にアキアカネ
首をすくめて
  フフフと笑う

私も思わず微笑んで
払うふりして髪に触れた
少しの疚しさも
こんな日は許される気がした

乾いた北の風が吹き始めた

市営プールの門に鎖が絡まり
駐車場にはカラスが数羽跳ねていた
昨日までの喧騒は
西の山を越えた

スーパーに売っていた
栗の実を買い求め
今夜は栗ご飯
あなたがそっと呟いた

少し嬉しくて
口笛なんか吹いて
子供の様に
でも控えめに飛び跳ねた

喧騒が西の山を
越えたのを知ったとき
空気の妖精達は
修道女の顔をして
私の周りで跪き
私の心を静かに抱いた

花火は終わり
そして、つかの間の静寂
  枯れた草の匂いがするね

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