アロエがくれたもの まるまる
実家からもらった
たった一鉢のアロエ
楽しめる
挿し枝だけで増えていくから
ひとりでに
それから十年
横に並んでアロエは八鉢
少し 持て余しぎみ
さすがに私を見かねた娘は
伸びたところを切り取った
グリセリンにつけて 三か月
化粧水のできあがり
繁殖は収まり 生まれ変わった
やった 大満足
娘が家を出てからは
作り方の紙を見ながら
自分で作る
もう 4回目
だいぶ減ってきた アロエ
・・・・・・
なんだか少し さみしい
作るの やめようかな
娘に電話で
アロエ 減ってきたよ
「それはよかったね」と娘
ああ、そうだった
化粧水は アロエを減らすためだった
目的を忘れない娘と
過去にしばられる私
大違い
そう言えば
私にとって難しいのは 家の片づけ
置き場所だけは変えてみるけど
片付く という結果は出ない
それはいかにも
私が過去を切り払えないから
図らずも 苦手の謎が解けてきた
心が身軽になってくる
こんな私の家にもとうとう
片付く時が やって来るかな
アロエが
また一鉢だけになる頃には