2つの靴下 喜太郎
僕と君は 二つの靴下
僕は穴だらけで汚れたよれた靴下
君はウグイス色のリボンの付いた靴下
お互いに片方だけで
誰も履かないし見向きもしない
だから僕は強くならなきゃいけないと
粗暴になり傷だらけの穴だらけ
それなのに君はウグイス色のリボンを大切にして
寂しさの中でも辛さの中でも美しさを忘れなかった
何度も僕は君に罵声を浴びせた
時には手を上げた
片っぽの靴下は捨てられるだけ
ただのゴミなんだよ
君は泣きながら初めて僕に怒鳴ったね
片足だけでも温める事がでる
片足だけど可愛くできる
きっと必要としてくれる人はいるはず
その為に美しい心は捨ててはいけない
そして君は僕の空いた穴を一つずつ縫って塞いでくれた
そして君は僕の汚れを丁寧に洗ってくれた
気がついたら僕は真っ白な靴下だったんだと思い出したんだ
そしたら君は同じウグイス色のリボンを付けてくれた
色違いだけど
同じウグイス色のリボンの付いた靴下ができた
そして僕たちはずっと一緒だと誓い合ったんだ