床を 拭く まるまる
「キッチンマットふかふかー」
新しく敷かれたマットに
気持ちよさそうに寝そべる息子は
幼稚園生
私の胸の奥深くまで
ずん と何かが届いた
全身を預けてしまう 解放された息子
言葉にして共有できる 感動
マットを替える家族がもたらす 安らぎ
そして
台所は そこに居るママ そのものだから
私自身が気持ちいいと言われているような
勝手な錯覚
息子がたまらなく 愛おしかった
そんな彼も大きくなった 私よりうんと
一日の終わりに
私は台所の床を拭く
足裏に触れる床には 独特の爽快感
拭かれる前とは別物
感じるかな
床つるつるー とは聞けなくても
おっ 気持ちいいな と
味わってくれるかな
台所の床は いつも台所にあるから
床の気持ち良さは 母さんの気持ち良さ
今もそう 思ってくれるかな
台所は母さん なんて私の錯覚だったけど
念入りに床を拭いた