蛇使い 朝霧綾め
三年前、本気で
蛇使いになろうと思っていた
楽しげに、笛を吹けば
蛇だって、五体揺らして踊ってくれる
蛇と話せたら
楽しいだろうと思った
私の黒い鞄から
蛇の赤い舌が飛び出していたら
みんな驚くだろうと思った
二年前、本気で
鷹匠になろうと思っていた
藍染の頭巾を被り
革の手袋を嵌め
からすだって何だって
腕にのせてみたかった
誰も構ってくれないなら
鳥でものせて目立ちたかった
水のいっぱい入ったコップを
手首に載せて歩く練習までした
それから二年経ち
私が蛇や鷹など連れてないのに
話しかけてくれる友達ができた
私はかたくなな心を開いた
パンダやコアラが好きな子たちだった
その子たちの誰ひとりとして
蛇や鷹は連れていなかった
今日、本気で
詩人になろうと思った